疲労感や倦怠感は、人間にとって痛みや発熱などと同じように体の異常や変調を自覚するための重要なアラーム信号の1つであり、健康な人でも、激しい運動や長時間の労作を行った場合、また過度のストレス状況におかれた場合などに、“だるい” “しんどい”という感覚でそれを自覚し、体を休めるきっかけとなっています。
厚生労働省研究班が行った調査によると、過労や睡眠不足、種々のストレスなどが続くことで慢性的な疲労に陥る人が増えていることが明らかになってきました。
慢性的な疲労がみられる人では、筋肉痛や関節痛、脱力感などの身体的な疲労とともに、いらいら、不安、抑うつなどの精神的な疲労もみられています。身体的な疲労が続いていると、脳血管障害や虚血性心疾患などによる過労死に陥るリスクが高くなることが知られていますし、精神的な疲労が続いていると、うつ病や不安障害などのメンタルヘルス障害に陥り、長期に会社を休んでしまうリスクが高くなります。
メンタルヘルス障害による長期休職者の増加は大きな社会問題となっており、労働安全衛生法が改正され、2015年12月1日より労働者のメンタルヘルス不調を未然に防止することを目的にストレスチェック検査が義務化されています。
そこで、弊社では労働者の自覚している心理的な負担の程度を把握するための検査(ストレスチェック)を実施するとともに、高ストレスと判定された労働者に対するアフターケア(医師や臨床心理士との面談、医療機関への紹介、健康の維持・増進対策など)を開始いたしました。
さらに、自覚的な疲労がみられる労働者に対しては、まだ頑張ることのできる予備力のある疲労であるのか、既に未病状態に陥っていて至急休息をとり疲労をリセットする必要がある状態であるのかを判断するための、客観的疲労評価検査(自律神経機能評価、睡眠覚醒リズム分析など)を導入致しております。
これらの検査は、職場、病院、学校、運送会社など幅広く取り入れられており、これからの社会におけるメンタルヘルス救済の役割を果たすことを目指します。
このような取り組みにより、少しでも多くの労働者がメンタルヘルス不調に陥ることを未然に防止できることを心より願っております。
顧問、協力医師
医学博士 倉恒 弘彦 先生
●大阪市立大学医学部 疲労クリニカルセンター/客員教授
●平成21 ー23 年度:
厚生労働科学研究書
障害者対策総合研究事業(こころの健康科学研究事業)
「 自律神経機能異常を伴い慢性的な疲労を訴える患者に対する客観的な疲労診断法の確立と慢性疲労診断指針の作成」
研究班 代表研究者
連携医療機関
連携研究機関
連携協力機関